「迷子の犬を家に帰そう」プロジェクトとは?
地球生物会議ALIVEでは、全国動物行政アンケート調査を実施し、犬猫の捕獲・収容や処分の状況を調査してきました。2008年度の調査では全国で約8.2万頭の迷子・放浪犬(負傷犬を含む)が行政に捕獲・収容され、この中から飼い主に返還された犬は約1.8万頭で、返還されなかった6.4万頭のほとんどが殺処分されてしまったことがわかりました。(地球生物会議 ALIVE『平成20年度全国動物行政アンケート結果報告』)行政の施設に収容される犬の比率で見ると、飼い主持込みの犬3.7万頭に比して、飼い主不明の犬の捕獲・収容数が7.9万頭で、2倍以上の数値となっています。
すべての飼い犬に身元の確認ができる鑑札、注射済票、迷子札が装着されていれば、多くの命は救われていたはずであり、飼い主明示の取り組みが急務と考えられます。そこで、地球生物会議ALIVEでは、犬が逃げるなどして行方不明になった場合、見つけた人が速やかに飼い主の元へ連絡できるように、犬の「迷子札&注射済票」装着ホルダーを考案(登録実用新案第3153980号)し、このホルダーの装着を普及させることにより、迷子等になった犬の飼い主への返還率を向上させ、犬の殺処分数を大幅に減少させることを目的とするプロジェクトを立ち上げることといたしました。
背景
行政の施設に収容される犬は、(1)飼い主の持ち込み、(2)飼い主不明の持ち込み、(3)迷子・徘徊・放浪犬の捕獲、(4)交通事故等による負傷犬の保護の4種類となっています。2008年度では、(1)の飼い主持込みの犬の数は約3.7万頭だったのですが、(2)所有者不明の犬の引き取り、(3)捕獲、(4)負傷犬保護という飼い主不明の犬の収容数は約8.2万頭で、飼い主持込み数の2倍以上にもおよんでいます。このうち、飼い主が判明して返還されたのは約1.8万頭で、返還率の全国平均は約21.9%にすぎませんでした。
犬の殺処分数を減少させるためには、すべての飼い犬に飼い主を特定できる標識をつけることが急務であるとわかります。しかもこの返還率は地域差が非常に大きく、特に、広島県1.4%、愛媛県1.7%、茨城県1.7%などでの返還率の低さが際立っています。(★資料:「行政に収容された犬が飼い主に返還された割合(2008年度)」)そこで、当プロジェクトでは、まずこれらの返還率の極めて低い地域をターゲットにして、飼い主明示の普及啓発に取り組んでいくこととしました。
捕獲・収容されるとどうなるの?
犬が保健所や動物愛護センターなど所轄の動物行政に捕獲・収容された場合、収容情報の公示期間は法律上2日間しかありません。この間に飼い主が名乗り出ない場合は、行政は3日目に処分してもよいことになっています。一方、飼い主の多くは、犬が行方不明になっても「そのうち帰ってくるだろう」と考え、行政に通報して探すことをしていません。そのため、手遅れになる場合がしばしば発生しています。(★資料:「茨城県 動物指導センター」で行われた調査)
収容された犬があまりに短期間に処分されてしまうため、ALIVE等が収容期間の延長を要望し、国会でも質疑された結果、2008年に厚生労働省は2日間の公示期間後直ちに殺処分するのではなく、収容期間を延長しできる限り飼い主に返還し、飼い主が現れない場合は新しい飼い主に譲渡するようにとの通知を出しました。(★資料:2007年5月16日 東京新聞 夕刊)しかし、施設の収容能力がないために、収容期間を延長できない自治体も多いのが現状です。
プロジェクトの効果
多くの自治体では、毎年春から夏にかけて、学校など公共の場所で犬の集合注射を行うため、その場を利用して、注射の接種時に飼い主にホルダーを配布し、その場で装着してもらうことにより、迷子札と注射済票の装着率は飛躍的に向上することが期待できます。
飼い主の連絡先が書かれた迷子札を見て、犬を保護した人や警察がすぐに飼い主に連絡できるため、犬の収容の負担がなくなり、犬にも飼い主にもメリットがあります。また、行政にとっても犬の捕獲・収容の労力・費用を削減できるというメリットがあります。
行政の担当者、獣医師、動物愛護推進員等が、飼い主一人ひとりと対面してホルダー及び装着の必要性を記したチラシを配布することで、啓発普及の効果を大幅にあげることができます。
全国の動物行政は、動物愛護管理推進計画の中で犬猫の殺処分数の半減を目標としており、適正飼養や一般譲渡活動について民間団体との連携・協力をかかげています。本プロジェクトの推進は行政と民間団体との連携を進めることで効果を上げることが可能です。
迷子犬の返還率を高めることにより、殺処分数減少の促進に大きく寄与することができます。また、収容数が減る事により収容施設にゆとりができ、その分飼い主持込み等の犬の収容期間の延長が可能となり、新しい飼い主探しに取り組む余裕ができてきます。
迷子・放浪犬による糞害、咬傷事故等を減らし、地域の生活環境の保全にも寄与します
「安心だワン!ホルダー・セット」について
当プロジェクトで、各自治体様等にご採用・配付を呼びかけている「安心だワン!ホルダー・セット」は、以下の3つのアイテムで構成されています。
商品説明
●「迷子札&注射済票」ホルダー (愛称「安心だワン!ホルダー」)
●迷子札(カード) (仕上:18×38mm・色数:特色2C/0C・厚紙)
●ホルダー使用説明書兼啓発リーフレット (A4・3ッ折り・両面カラー印刷)
※「安心だワン!ホルダー」セットは、配付会場への送付および配付のしやすさから、この3アイテムを透明の封筒に封入した状態で1セットとします。
ご購入について
迷子札&注射済票ホルダー「安心だワン!ホルダー」のご購入方法は個数によって異なります。
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